みらい図鑑

VOL.238「FOOD PAPER」

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100%土に還る、野菜や果物から作られた食物由来の紙文具ブランド、「FOOD PAPER」。

手掛けているのは、
福井県にある、創業1919年、越前和紙の老舗工房「五十嵐製紙」です。

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日本古来の手漉きの紙、「和紙」。

その代表的な原料は、楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)などの植物ですが、
国内で収穫できる量は、年々、減っています。

なんとか新しい紙を作れないものかと、
伝統工芸士・紙漉き職人の五十嵐匡美(いがらし・まさみ)さんは、考えていました。

新しい紙のヒントをくれたのは、五十嵐さんの息子、優翔(ゆうと)くん。
「食べ物で紙をすいてみた」、という小学校の自由研究です。

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優翔くんの研究がきっかけとなり、生まれた「FOOD PAPER」。

手漉き和紙と同じ工程で作ることができて、
洋紙でもなく、和紙とも違う独特な風合いが特徴です。

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五十嵐さんにお話を伺いました。

「子供が考えたアイデアを、母親の私が紙をすいてみた、ということなんですね。
その食物の持つ特徴が、全て出ているんです、このFOOD PAPERには。

玉ねぎには、玉ねぎの柔らかさや、表情や色合いが全部出てきたり、
みかんだったら、色合いや手触り。
ぶどうなんかも、発色の仕方だったり、
その食材の優しさなり、強さなりが出てくるんです。」

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「FOOD PAPER」の生産に取り組むことで、
身近な所から、少しでも食べ物のゴミを減らしていきたい、という五十嵐さん。

捨てられてしまう野菜や果物を活用し、
環境に優しい紙文具ブランドとして、紙の可能性を広げていくことが目標です。

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最後にこんなことも語ってくれました。

「私は、いろんな食材を漉いているんですが、
漉いているうちに、食材すべてが大好きになってきているんです。」

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「FOOD PAPER」が、どんなものを使って、どうやって作られているか、
そんな親子の会話が食育にもつながりそうですね。

VOL.237「つよいこグラス」

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愛知県岩倉市に本社を構える、「石塚硝子」。 

創業から200年という老舗のガラスメーカーですが、
さまざまな製品を手掛ける中で、ひときわ目を引くのは、
こども向けの「つよいこグラス」というガラスのコップです。

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こどもが安心して使えるように、細かい工夫が盛り込まれている「つよいこグラス」。

一番の特徴は、その形状です。
小さな手でも持ちやすいように、
中ほどがひょうたんのように、くびれたデザインになっています。

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グラスの容量は、こどもの飲み切りサイズ。

さらに、安全面への配慮も万全です。
業務用の食器などに使われるものと同じ強化加工が施されていて、
通常のグラスよりも、割れにくい仕上がりになっています。

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「やっぱりどうしてもガラスというのは、
子供から遠ざけたい、というのが、親の正直な気持ちですよね。
ですが、落とすと割れる、ということを知ることって言うんですか、
それを教えることも、物を丁寧に扱うことも、伝えていくことは食育につながります。」

そう語るのは、開発を担当した、伊藤裕之(いとう・ひろゆき)さん。

「ガラスは、やっぱり天然素材ですから、地面に埋めておけば、
どんどん自然に還っていきます。
それを小さい頃から触らせたいということで、
自分の子供の子育てに対して、すごく熱心に考えていらっしゃる方が、
“つよいこグラス”にたどりつくようです。」

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ガラスの器でこどもの感性を磨いて欲しい、と話す伊藤さん。

「ジュースや牛乳を、樹脂から飲むよりも、グラスで飲む方が美味しいんだって、
こどものときから、唇で知っていただくといいますか。
ぜひ、お子さんに使っていただきたい、というのが、私の気持ちですかね。」

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コップだけでなく、
ちょっとしたデザートなどを入れられる「つよいこボール」もある、
「つよいこグラス」シリーズ。

彩りや味わいを通じて、食事の楽しさを知り、心を豊かにする「器」。
安心安全の設計でつくられたガラスの器は、
こどもの食育に大事なアイテムとなりそうですね。
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