Vol.19 「サイダー“ダイヤモンドレモン”」 兵庫県西宮市
今回のタカラモノは、100年以上という長い歴史を持ったサイダー、
「ダイヤモンドレモン」です。
兵庫県の西宮市にある「布引礦泉所(ぬのびきこうせんしょ)」が作っています。
「ダイヤモンドレモン」は1914年(大正3)に誕生。
サイダーは、水に砂糖を加え、炭酸ガスを注入し、香料を入れるだけのシンプルな飲み物。
水は社名にも由来する神戸・布引の水、香料はフランス産の高級品を使用、
そして、昔ながらの砂糖を使って、100年前と変わらぬ方法で作られています。
「布引礦泉所」代表、石井恭子さんにお話を伺いました。
「子供のころから、ずっと、このダイヤモンドレモンが大好きで、
もし私がこの会社に入って継がなければ、この商品、世の中からなくなってしまうのでは
ないかなと思ったのが一番最初のきっかけで、
これは絶対、私自身がなくしたくないと思った商品なので、今も作り続けています。」
作り手として、このサイダーを誰よりも愛する石井さんの、
“ゆずれないこだわり”もあるそうです。
「どんどん世の中って便利になっていくんですが、
そのなかでも、ちょっと不便かもしれないんですけど、ビンにこだわっているんですね。
もちろんリサイクルの意味もあるんですが、
味わいが変わらず飲めるのがビンのいいところだと思うので、
これからも作り続けたいと思います。」
かつては人の手で1本ずつ巻かれていた瓶の口の銀紙は、
当時は高級品であったことを今に伝えるアイテムの一つです。
そして、昔のままの瓶だからこそ、
「原料も製法も変えずにそのままのおいしさを、今につなぐことができた」と石井社長。
「ダイヤモンドレモン」は、紅茶と合わせるティーソーダや、果物にかけるフルーツポンチも
オススメだそうです。
大正時代から変わらない国産のソーダ。
100年後の未来にも栓抜きのいい音が響いていますように。