みらい図鑑

Vol.21 「薩摩切子」 鹿児島県

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その見た目から涼を感じることのできるガラスの器。
暑い夏には手元に置いておきたいですね。
今日のタカラモノは、「薩摩切子」です。

日本を代表する鹿児島生まれのガラス細工として知られるのが、江戸末期に誕生した「薩摩切子」。
しかし、100年以上の間、製造が途絶え、幻の工芸品となっていました。



現代に復活したのは、30年前。
「薩摩切子復元」という一大プロジェクトがスタートしました。

薩摩切子を現代に復活させた、美術作家、中根櫻龜(なかね・おうき)さんのお話です。

「はじめて本物の薩摩切子を見て、
“すごいな、江戸時代の人がこんなものを作ったんだ”という感動がありました。
当時のままの姿を復元したいと思いました。
そして、現代の生活に合う、現代の薩摩切子を次に作りたいと思いました。」



薩摩切子は、透明ガラスの表面に色硝子を厚くかぶせた二層の合わせガラスの素材を使って、
切り込みで模様を入れていくのですが、
その際に、色ガラスと透明ガラスの境が曖昧になるグラデーションが生まれます。
このぼかしのあるカットガラスが薩摩切子最大の魅力だと、中根さんは語ります。

「薩摩切子はやはり晴れの日の器だと私は思っているんですね。
華やかな素材です。
私は是非、次の100年まで、次の世代にきっちりと受け継いでいきたい。
そんな想いを抱いております。」



カット模様に奥行き、柔らかさ、手作りの温かみをぼかしで生み出し、
他のカットガラスにはない独特なポイントがあるそうです。

色鮮やかで、まるで宝石のようなガラス細工の薩摩切子。
日本が世界に誇る工芸品として、末永く伝承していってほしいですね。