みらい図鑑

Vol.36 「赤べこ」 福島県

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頭をポンと押すと、首から上がゆらゆらと揺れる牛の民芸玩具、「赤べこ」。
福島県・会津地方のシンボルです。



牛のことを「べこ」と呼んでいる会津地方のお話です。
今から1200年程前、あるお寺を建てる際、巨大な材木運搬に使われた牛や馬が、
けわしい道のために数多く倒れました。
そのとき、最後まで働き通したのが赤い(茶色い)牛だったことから、
子供が誕生したら「べこ」のように、重荷に耐えて健康で元気に育つように、と、
「赤べこ」の張り子玩具をお祝いにしたんだそうです。

以来、会津のシンボルとなり、「幸せを運ぶ牛」、「子どもの守り神」として、
多くの人に愛されてきました。

そんな「赤べこ」を作り続けて50年、「荒井工芸所」、荒井美枝子(あらい・みえこ)さんに
伺いました。

「機械で作るならポコポコ出来るんですけど手仕事なので、
本当に根気と努力しかないので、やっぱり真心を込めて、子どもの元気な将来を願って
作っているんですよね。
それが、今も伝えられていることだと思うんです。」



「赤べこ」づくりは大変な作業です。
まず、大きな角材を小さくして、その大きさに型を作り、そこに油を塗って紙を貼っていきます。それを乾かしたら背中を切って型から出します。
その型から出したものが“張り子”になります。



そこに背中をもう一度貼って元に戻して、胡粉を塗って赤く塗り、絵を書いて首をつけて、
頭が振るように仕上げていきます。



「嫌なことがあった時にポンと首を振って、
“うんうん、私は知っているよ、あなたが大変だったことを”って、
赤べこが言ってくれる気がして。
癒やされるというか、なんかそれだけで気持ちがスッキリするような、
そういう赤べこであってほしいなと思って作っています。」

無心になってみんなの幸せを願う「赤べこ」。
未来を見つめて元気に生きていけば、
100年後の「赤べこ」も今と同じように“うんうん”と首を振ってくれる・・・。
そう思いませんか?