みらい図鑑

Vol.39 「活版印刷」 長崎県

radikoで再生する


今回のタカラモノは、「活版印刷」。
活字を1文字ずつ原稿に沿って拾い、版を作り、圧をかける。
5世紀前にヨーロッパで開発された印刷法です。




日本で最初に伝わったのが長崎。
日本における活版印刷は長崎から始まりました。

舞台は、長崎県 五島列島の北端に浮かぶ小さな島、小値賀島(おぢかじま)。

「魚のお礼に野菜をどうぞ」。
そんな物々交換が日常茶飯事のこの島に、昔ながらのステキな印刷屋さんがあります。

活版印刷にこだわって100年以上。
「晋弘舎活版印刷所(しんこうしゃ・かっぱんいんさつじょ)」。
4代目、横山桃子さんのお話です。

「表面が凸凹していたりとか、インクの匂いだったり、ちょっとかすれていたり。
完璧じゃないからこそ、人間味を感じるような印刷物なんですね。
やっぱり出来上がった時に、人のぬくもりを感じるなって。」



同じように見えて、1枚1枚、違う表情を見せてくれる。
便利であることが当たり前な時代にあって 完璧じゃないことが価値を生んでいます。

「活版印刷って時間がかかるからこそ、豊かな表情を見せてくれる印刷物で、
さらに、100年、小値賀で続いたからこそ、
人に伝えられる魅力が生まれているのかなと思っています。」



人と人のつながりが大切にされている島だからこそ、人のぬくもりを感じられる印刷物が
愛されているんですね。

便利になりすぎているがゆえに、便利でないものに惹かれる・・・。
人肌のような活版印刷のぬくもりが、これから先も冷えることなく続いていきますように。