みらい図鑑

Vol.40 「豆腐」 佐賀県

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12月に入り、これから旬を迎える食べ物のひとつが「豆腐」。
今でこそ、冷や奴など、夏にもよく食べられていますが、
技術のなかった昔は”冬のもの”として食べられていたんです。

佐賀県・唐津に店を構えるのは、創業200年を越える豆腐店、「川島豆腐店」。



川島豆腐店のメインは、“水にさらさない豆腐を作りたい”という思いから誕生した「ざる豆腐」。
かたまりかけた豆腐を、竹ざるに汲み上げるという昔ながらの製法で作ります。
豆腐は水にさらすと淡白になり、良い大豆を使っても旨味が抜けてしまうのですが、
「ざる豆腐」は水にさらしていないので、大豆の旨味がしっかりと残っているんだそうです。



さらに、代表の川島義政(かわしま・よしまさ)さんは、おいしい豆腐をつくるために、
自ら豆腐の原料である大豆づくりにも挑んでいます。

「やっぱり作ってみないと農家の方と話ができないんですよね。
畑によっても違うし、作り手によっても違う。
話をしてみると、手間暇かけた大豆だったり、土地がいいとか悪いとか、
自分でつくるとわかりやすいもんですから、勉強になりますね。」

農家の方と話して豆腐を作ると、お客さんにも説明ができる。
消費者と生産者の真ん中にいるから責任は重い。
けれど、これが“豆腐屋の使命”だと川島さんは語ります。

「結局、豆腐のおいしさって大豆に尽きるわけですよ。
農家の方とディスカッションしながら美味しい大豆を作ってもらって、
その美味しい大豆をうちで美味しい豆腐にするっていうことを、
1000年後も2000年後も続けたいと思っています。」

午前3時に起きて豆腐作り。
過酷な作業であっても自分にとって、豆腐作りは人生であり、生きがい。
こんな思いを抱く川島さんの一番の喜びは、やはり「美味しい」の声なんだそうですよ。