みらい図鑑

Vol.54 「おのくん」 宮城県

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今回のタカラモノは、「おのくん」。
「おのくん」とは、おさるさんの人形の名前です。

2011年3月11日。
東日本大震災のあと、宮城県東松島市「小野駅前応急仮設住宅」の人々の、
暮らしがあった奥松島の復興を願って、2012年4月20日に生まれたキャラクターです。



「おのくん」は、大きさも色も柄も違う、さまざまな“靴下”を縫い合わせた
“ソックスモンキー”。
作り始めたのは、仮設住宅に暮らすお母さんたちでした。

震災前のゆったりとした暮らしから一変、被災して先の見えない状況のなかで、
さまざまな困難に立ちむかいながら、「めんどくしぇ」とぼやきつつ、
前向きに、新しい未来を自分たちの手で築いていこう、という思いが込められています。



小野駅前郷プロジェクトの共同体表・武田文子(たけだ・ふみこ)さんのお話です。

「なんか、あまりの大きさのショックに笑うのはできたんですね。
でも泣くのは、涙が出なかったんですよ。二年ぐらい涙が出ませんでしたね。
なにかをしないといられない精神状態だったんですね。」

仮設住宅の集会所に集まったお母さんたちが作る「おのくん」。
ひとつひとつ顔は違いますが、“東松島を知ってほしい”、“東松島に来てみてほしい”という
願いが込められています。

「おのくん」は購入することができ、購入した人は「里親」と呼ばれています。



「おのくんそのものはお人形ですけど、これを見ると、
“ああ震災で出来たやつだよね”って、
何年後も、これを話題に震災の話ができたらいいかなって思っていますね。
忘れないように、っていう意味で。」

里親ひとりひとりがみな家族・・・そんな想いでお母さんたちは毎日、一針一針、
絆を紡いでいます。
手に取った人、ひとりひとりが東松島でつながっている家族。
「おのくん」の里親は、いまも増え続けています。



おのくんウェブサイト
http://socialimagine.wixsite.com/onokun