みらい図鑑

Vol.68 「桐たんす」 福岡県

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福岡県の南西部にある大川市は、“家具のまち“として470年以上の歴史を数えます。
この街で作られている家具のひとつが「桐たんす」。
大川市は伝統的桐たんす発祥の地です。

桐は燃えにくく、軽いうえに、防虫、防湿効果があることからたんすの材料に使われ、
昔から着物や大切なものの保存に重宝されてきました。

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かつての日本で”嫁入り道具”の代名詞だった「桐たんす」。
祖母から母へ、母から娘へ。親子三代100年以上続く家具とも言われていて、
一生ものの家具は、まさに、匠の技によってつくられています。

「桐たんすは昔と変わらない手作りで現在も作っている関係上、一人一品制作。
木取りから最後の仕上げまで、責任を持って仕上げるということになります。」

お話をしてくれたのは、明治45年から桐家具をつくり続けている「桐里工房」、
代表の稗田正弘(ひえだ・まさひろ)さん。

「桐たんす」づくりは、切る・削るなどの作業で機械を使用するだけで、
基本的にすべて手作業。
桐里工房は、創業以来、伝統的な工法や手作りにこだわった家具づくりを続けています。

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「桐たんす」は、人間の物語そのものだと稗田さんは話します。

「桐たんすは、元々、女の子が生まれる時に桐の木を植えるんです。
桐の木は20年で成木になります。女の子も成人になります。
数年後に婚礼が決まったら、桐たんすを作って、そのたんすを持って、
お嫁に行ってもらうと。
使っている方の真心が、たんすの中にしまってあるとお考えください。」

衣類やモノだけでなく、人の心もしまってある「桐たんす」。
いつまでも、この文化が残っていってほしいですね。