Vol.71 「京うちわ」 京都府
風を起こして凉をとる昔ながらの道具、「うちわ」。
その起源は紀元前3世紀の中国。日本へは飛鳥時代に伝わりました。
以来、今日にいたるまで、広く親しまれていますが、
日本には、“三大うちわ”といわれる「うちわ」があるのをご存知でしょうか?
そのうちのひとつ、京都の「京うちわ」が今回のタカラモノです。
うちわは、奈良時代後期、“神格化された物を見ないようにするモノ”として使われてきました。
セパレートな構造のうちわが江戸に入り、その後、京都に伝わります。
彩色が施され、「御所うちわ」と呼ばれるものが「京うちわ」になりました。
そして、明治以後には庶民のものに、、と、時代の移り変わりとともに、
うちわのニーズも変化を遂げました。
300年以上も前から、京うちわを作り続ける老舗、
「阿以波(あいば)」の亭主、饗庭長兵衛(あいば・ちょうべえ)さんのお話です。
「形にできないものをして差し上げる、というのが、第一義の仕事。
職人のひとつのモットーですね。」
洗練された美しさが人気の「京うちわ」。
1本1本、完全に手作り。
これまでに無かったような形を作り上げていくことが、職人さんの腕の見せどころです。
創作が中心。毎年発表する商品を生み出すようになったので、楽しまないと出来ない、
と饗庭さんは言います。
「当然、風をおこして気持ちよく使っていただくというのは続いておりますけれども、
たとえばファッション分野ですとか、恰好よく持った使ったり、
出番が増えれば嬉しいなと思っております。
100年後には、たぶん私が思いもよらないところでお使いいただけると嬉しいなと、
思います。」
夏の涼をとる完全に一本ものの「京うちわ」。
100年後にはどんな使われ方がされているのでしょうか。楽しみですね。