みらい図鑑

Vol.91 「和ろうそく」 石川県

radikoで再生する


石川県、能登半島のつけ根に位置する七尾市で、
昔と変わらず、今も作られ続けているのが、「和ろうそく」です。



能登地方は、昔から七尾港が栄えていたため、
「和ろうそく」に使われる原料の仕入れや運搬が可能なこともあり、
古くから生産が盛んに行われていたんだそうです。

石油由来の「西洋ろうそく」に対し、「和ろうそく」は植物由来。
ハゼの実や米ぬか、うるし、ヤシ、菜種など、
自然界にあるものだけを用いて、手作りで仕上げられます。
火をともせば、「西洋ロウソク」との違いは明らかです。





創業明治25年。
県内で唯一和ろうそくを作り続けるろうそく店、「高澤ろうそく」の5代目、
高澤 久(たかざわ・ひさし)さんに伺いました。



「見た目で違うのが、やはり、炎ですね。
火をつけたときに大きく明るくなります。
ゆらぎもありますので、眺めていても飽きない、というのが特徴ですね。」



見た目だけでなく、すすが出ず、においも汚れも気にならない「和ろうそく」。
消えにくい、という特徴もあるようです。
高澤さんは「和ろうそく」の魅力をこう語ります。

「炎をつうじて、なにか、人の心に届くということが素晴らしい点だと思います。
火をつけたり、火をながめる行為は、
人が持っている“落ち着く”という感覚に訴えかけるんじゃないかと思いますね。」



いつもの食卓に灯す、1本の和ろうそく。
親しいだれかと灯りを囲めば、それだけで温かい雰囲気が生まれそうですね。