Vol.96 「カスタネット」 群馬県
群馬県の最北端にある町、みなかみ町。
面積の8割が森林です。
そんな町に、地元の森の間伐材を用いて、カスタネットを作る工房があります。
全盛期には1年間に200万個を生産していましたが、今は、8000個。
少量になったとはいえ、注文に応じて、丁寧にオーダーメイドで作るカスタネットが
人気を呼んでいます。
「カスタネット工房」の2代目、冨澤健一(とみざわ・けんいち)さんに伺いました。
「カスタネットに使っている木は、桜、ブナ、ミズキ、栗、栓、槐 (えんじゅ)。
そのなかで、いちばん響く音というのは桜の木です。」
使う木によって、タンタンタン、という音色が違ってくるんだそうです。
どうやってカスタネットに仕上げていくんでしょうか?
まず、材料となる木を天日で乾燥させて1年。
互い違いに置いて、風が通るようにしておくことで、良い音が出る木材になるんだそうです。
その後、木を丸い形に切り抜きます。
形を整え、内側の凹みを作って、ゴム穴やピン穴を開けて、ゴムを通せば出来上がり。
自然豊かな、みなかみ町で作られる、世界にたったひとつのカスタネット。
手に取るだけで優しくなれる。
木には、そんな不思議な力があると冨澤さんは話します。
「森の中にいると、心が落ち着くというのか。
それに近い感じがするんじゃ無いですかね。
肌触りがすごく良いと思います。
叩けば、すぐ、みんな、歌を歌っています。
カスタネットを作っていて、子どもたちに笑顔が届けられたらいいなと思っているので、
ぜひ、小さいお子さんも使ってもらえたらいいなと思います。」
カスタネットに触れるだけで、森が感じられ、自然を守る気持ちが芽生えてくる。
そして、叩くと笑顔が生まれる。
ステキな楽器ですね。