みらい図鑑

Vol.120「未来へつなげたい生態系豊かな里山・孟子不動谷(前編)」 和歌山県海南市

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今月、番組が訪れたのは、和歌山県の海南市にある「孟子不動谷」です。
なんて読むか、わかりますか?
もうこふどうだにです。
なんだか、とっても珍しい名前ですよね。

地元では、「お不動さん」の愛称で親しまれるお寺がある里山です。
このお寺は、1200年前に空海が開きました。




到着して最初に思ったことは、「気持ちいい」ということ。
右を見ても、左を見ても、
とっても豊かな自然の風景が広がっています。

和歌山県屈指の生物多様性を誇るこの孟子不動谷は、
海南市の北東部に位置しています。
稲作を主とする耕作地と、比較的低い丘陵地にひろがる落葉広葉樹林帯。
伝統的な農村の暮らしを支えた里山では、
1000年以上の間、人間と自然が、共生してきました。

ムササビにフクロウにアオヤンマにトノサマガエル。
環境省のレッドデータに記載されているような絶滅危惧種がいます。
ここには、たくさんの生き物が暮らしています。
子どもたちは、走り回って、生き物を追いかけています。





ところが、数千年かけて営んできた里山の暮らしは、
数十年前に、一度は、途絶えました。
生活が不便になって、山から、だんだん、人がいなくなってしまいました。
かつて、豊かな自然に溢れていたこの土地から、
生き物たちが、いなくなってしまったんです。

そこで、昔の自然や原風景を取り戻そうと、、、
田んぼを復活させて、
野生生物のためのビオトープとして整備する取り組みが始まります。

取り組んでいるのは、
特定非営利活動法人「自然回復を試みる会 ビオトープ孟子」。
メンバーの有本智さんは、
里山の魅力をこんな風に話してくれました。



「里山っていうのは、人間がそこで活動するために、形づくられています。
木も低いし、草丈も低いし、田んぼがあって畑がありますよね。
そして畦道があります。
つまり、子どもの目線にいっぱい虫がいるんです。
トトロで言ったら、メイちゃんぐらいの子どもたちを山に連れて行ったら、誰も、怖がりません。
ヘビでも平気で触りますよ。
でも、サツキちゃんの歳になるとヘビを怖がります。
それは、大人の世界に入るっていうことなんですよね。
子どもの頃に、通る道なんですよ。
だから、小さい子どもたちは、本当に楽しそうにしていますよね」



里山を守っていこうという取り組み。
それに賛同しているのが、
ダンロップと日本ユネスコ協会連盟が協働しておこなっている環境保護活動、
「チーム エナセーブ 未来プロジェクト」です。

未来へ向けて、美しい里山を残していこうという活動が、
今月おこなわれて、そこには、たくさんの方が参加していました。
ダンロップタイヤ近畿株式会社の松川司さんは、
一度訪れると、何度も何度も来たくなるのがこの里山だと話します。



「私自身、けっこう田舎育ちで、子どもの頃、ちょっと行ったら、
クワガタがいたり、オニヤンマを捕まえたり、
でも、最近、そういう場所が減ってきているんですよね。
だから、ここは、宝の山なんですよ。
こういうところに来ると、自分自身、子供に帰ることができます。
子どもたちにも、こういう経験をさせたいんですよね。
まずは、自分の手の届く範囲で。
その中で、できるだけ、こういう楽しさを知って欲しいです。
それから、こういうイベントがないときでも、
二回、三回と、みんなに足を運んでもらえると嬉しいですよね」



目の前に思いっきり広がる里山の風景。
その中を駆け回りながら、
虫を追いかけて、子どもたちが本当に楽しそうにしていたのが印象的でした。

豊かな生態系をほこる和歌山県の「孟子不動谷」。
この里山を守っていこうという取り組み、今週ご紹介するのは、ここまで。
来週も、引き続きお伝えします!