2007年11月11日
島尾敏雄 『死の棘』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

11月12日は、日本の戦後文学を代表する作家・島尾敏雄の命日。1986年、69歳で亡くなりました。番組の放送日が、彼の命日前日という事で、今回とりあげたのは「死の棘」。島尾敏雄のライフワークとも言える作品です。まず1960年に短編として発表。その後もこのテーマで雑誌などに断続的に掲載。それをすべてまとめて長編小説として刊行したのが、1977年のことでした。17年の歳月をついやして綴られた彼の私小説。島尾本人と島尾の妻ミホ、そして二人の幼い子供を巻き込んだ壮絶な日常が綴られています。そのきっかけは、10年もの間、島尾敏雄が不倫をしていたこと。そのため妻ミホは、精神に異常をきたしてしまうのです。

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