2008年3月23日
梶井基次郎 『檸檬』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

31歳の若さでこの世を去った梶井基次郎の命日を前に、彼の代表作「檸檬」を選んでみました。文庫本にして9ページ。しかし日本近代文学史に輝く名作。その物語の主人公である「私」は、得体の知れない不安にさいなまれ町をさまよい歩きます。そこで見つけた果物店の檸檬。その美しさにひかれ、檸檬を持って京都の丸善へ行き、檸檬を爆弾に見立てて画集の上に置いてくるという小説。いったい梶井基次郎は、どんな想いでこの作品を書いたのでしょうか?その頃の梶井は、結核による体調不良から学校を落第し、若さゆえの放蕩を続けていた時代。「檸檬」には、その精神状態と身体の不調が描かれています。

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