2008年4月13日
川端康成 『片腕』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

川端康成の命日を前に、短編小説「片腕」を取り上げてみました。「片腕を一晩お貸ししてもいいわ、と娘は言った。」という一行からはじまる不思議な物語。主人公である私は、娘から借りた片腕を胸に抱き、怪しげな夜を過ごすのです。川端康成というと「雪国」や「伊豆の踊子」「古都」など日本の美を表現した作品が印象的ですが、「片腕」のような怪談めいた小説も数多く残しています。小川洋子さんも、川端作品の中で特にこの「片腕」にひかれるとか。「ゆがんだ狂気をおびた欲望を描きだした作品。人間がみな心の奥底に抱えているものを表現している。」と感じるそうです。

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