2008年6月22日
村上春樹 『風の歌を聴け』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

村上春樹さんのデビュー作「風の歌を聴け」。1979年文芸誌「群像」6月号に掲載され、「群像新人文学賞」にも輝いた作品です。物語の舞台は1970年。当時、大学生だった主人公の「僕」は、ふるさとの町に帰り、鼠という友人と過ごしたことや知り合った女の子のことが断片的に語られていきます。この小説、小川洋子さんにとっても大切な1冊。1980年、大学に入った頃に読み、いつしか冒頭の1ページを暗唱できるくらいになっていたそうです。ちなみにその頃、小川洋子さんご自身も小説を書き始めていたとか。作家を目指した大学時代の小川さんが、この作品のどんな部分にひかれ、影響を受けていったのでしょうか?

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