2008年7月6日
稲垣足穂 『一千一秒物語』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

大正から昭和にかけて、天体などをモチーフにした数々の作品を発表した稲垣足穂。その代表作が「一千一秒物語」です。ページを開くと、星のきらめきのような短いお話が全部で70話。「月から出た人」「星をひろった話」「ポケットの中の月」「星を食べた話」「お月様とけんかした話」などなど。タイトルを読んだだけでも想像力をかきたてられるものばかりです。その中で小川洋子さんが好きな作品は「ハーモニカを盗まれた話」と「黒猫のしっぽを切った話」という2篇。「まるで前衛的な俳句のよう」という小川さんの言葉どおり、ほんの短い文章に、稲垣足穂ならではの不思議な世界が広がっています。

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