2008年8月03日
レイモンド カーヴァー
ささやかだけれど、役にたつこと
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

今から20年前の1988年8月2日、50歳で亡くなったアメリカの作家レイモンド・カーヴァー。彼が生前に残した数多くの短編小説の中から、小川洋子さんがお好きな作品のひとつ「ささやかだけれど、役にたつこと」を選んでみました。物語は、ある母親が自分の息子のためにパン屋さんで誕生日のケーキを注文するところからはじまります。しかしその息子は誕生日の朝、交通事故にあってしまうのです。物語のほとんどは、意識の戻らない息子を病室で見守る夫婦の情景。しかし読者はその夫婦の人生最大の数日間を共にすることで、短編小説でありながら、まるで長いお話を読んだ時のような深い想いを感じることができるのです。

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