2008年9月28日
辺見庸『もの食う人びと』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

作家でジャーナリストでもある辺見庸さんの「もの食う人びと」。「食べる」ということをテーマに1992年末から94年の春まで世界各国を旅されて、そのルポルタージュをまとめた1冊です。しかし「食べる」と言ってもグルメ本ではありません。世界のあらゆる場所で人はどんなものを食べ、その「もの食う風景」から何が見えてくるのか。旅のはじまりとなるバングラデシュでは地元の人たちと一緒に残飯を食べ、ポーランドでは炭鉱に入り働く人たちとともにスープを味わう。その旅は時に過酷で時に悲惨な現実を見ることに。しかし辺見庸さんは自ら「もの食う風景」に分け入ってそこから感じた世界を伝えています。

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