2009年08月02日
井上靖『天平の甍』 (新潮文庫)

1300年近く前の日本や中国を舞台にした「天平の甍」。これを読むと、作者がまるでその時代を生きてきたかのような風景描写と臨場感です。主人公の普照と栄叡も実在の人物ですが、いつ生まれていつ死んだのかもわからない無名の僧侶。歴史書では、たった1行ですまされてしまう人物や出来事について調べ抜き、そこから作家としての想像力を広げて書き上げられています。「書き手としての執念がなければ完成できない作品。」と小川洋子さん。さすが日本を代表する作家・井上靖の名作です。読みにくい漢字も出てきますが、ぜひ時間のある夏休みに、読書を通して天平への歴史の旅を味わってみてはいかがでしょうか?

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