2009年10月18日
池波正太郎
『食卓の情景』 
(新潮文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「鬼平犯科帳」や「仕掛人・藤枝梅安シリーズ」など人気の時代小説を生み出した作家・池波正太郎さんは、食通としても知られていて、食にまつわる随筆も数多く残されています。そのひとつが「食卓の情景」。昭和47年から48年にかけて「週刊朝日」に連載されていたものを1冊にまとめた随筆集です。この中には、池波さんの食へのこだわりやお気に入りのお店。家族との味や思い出の味覚など、あらゆる食べ物にまつわる情景が描かれています。「人がおいしいものを食べている姿がこんなにも幸せなものなのか」と小川洋子さん。確かに読んでいるだけで、おいしい情景に満たされる楽しいエッセイばかりです。

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