2011年02月13日
司馬遼太郎
『菜の花の沖』
 (文春文庫 4〜6巻)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

司馬遼太郎さんの命日「菜の花忌」にちなんで選んだ「菜の花の沖」。江戸時代後期に活躍した廻船商人「高田屋嘉兵衛」の生涯とその時代を描いた長編小説です。今週はその特集の第二回。文春文庫全六巻の中から後半の3冊を取り上げました。物語は、主人公「高田屋嘉兵衛」が荒れた日本海の航路を基盤に事業を広げ、「蝦夷地」と呼ばれた北海道へ渡ったあとのお話。ちょうどその頃、幕府もエトロフへの航路を確立したいと考え、その重要な仕事を嘉兵衛に委ねるようになります。ところが第六巻で大変なことが起こります。なんと嘉兵衛自身、ロシア船に囚われ、カムチャツカに抑留されてしまうのです。

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