2011年11月27日
グレアム・グリーン
『第三の男』
 (ハヤカワepi文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

1949年に「第三の男」という映画が作られ、3年後に日本でも公開されました。第二次世界大戦直後のウィーンを舞台にした映画。アントン・カラスのチターの調べとオーソン・ウェルズが出演していることでも知られ、今でも名作と言われています。今回とりあげた小説「第三の男」は、もともと映画のシナリオを頼まれたイギリスの作家グレアム・グリーンが、シナリオを書く前に創り上げた物語。序文にもこう記されています。「第三の男は、読んでもらうためにではなく、見てもらうために書いたものだ」。では見てもらうことを前提に書いた小説とはどんなものなのか。それだけで本のページを開いてみたくなります。

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