2012年05月13日

石川啄木
『一握の砂』
 (新潮文庫など)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「母の日」にあわせて選んだ1冊は、石川啄木の代表的歌集「一握の砂」。この中には「たはむれに母を背負ひて そのあまり軽きに泣きて 三歩あゆまず」というお母さんを詠んだ有名な歌も含まれています。今から126年前の明治19年、岩手県にある寺の住職の長男として生まれた石川啄木。しかし二十歳の頃、父親が住職をやめさせられたため、一家を養うことになってしまいます。さらにこの頃、結婚した啄木。彼は母校の代用教員になるのです。その後、職を求めて北海道に渡り新聞社で働きますが、文学の夢を捨てきれず上京。貧しい暮らしの中、発表したのが「一握の砂」。明治43年、啄木が25歳の時でした。

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