2012年06月03日

梨木香歩
『渡りの足跡』
 (新潮社)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

6月5日が「環境の日」、6月が「環境月間」にちなんで選んだ梨木香歩さんのエッセイ「渡りの足跡」。2010年に読売文学賞も受賞している1冊です。「鳥の渡りの先の大地にはいったい何があるのだろうか。住み慣れた場所を離れる決意をするときのエネルギーは、どこから湧き起こってくるのか」そんな疑問を持って梨木香歩さんが渡り鳥のいる様々な土地を旅します。その最初が3月末の北海道。北方に帰るオジロワシやオオワシ、ワタリガラスに会いに知床に出かけます。鳥の描写も美しく、梨木さんがいかに鳥に愛情を持っているかが伝わってくるエッセイ。それぞれの章の終わりに、鳥の解説が出てくるのも魅力です。

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