2013年09月08日

水上勉
『越前竹人形』
(新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

今から9年前の2004年9月8日、作家・水上勉さんが85歳で亡くなられました。命日にあわせて取り上げたのは代表作のひとつ「越前竹人形」。1963年に発表された小説で、この年、映画にもなっています。越前とは福井県のこと。日本海へ断崖になって切り立っている山脈の山ふところに、忘れられたような小さな村がありました。竹神という名前のとおり竹の名所で、そこに暮らす氏家喜左衛門という人物が副業として竹細工を広めました。その後、喜左衛門は亡くなり、息子の喜助が跡を継いだある日、ひとりの女が訪ねてきたのです。「喜左衛門に世話になった」というその女の名前は玉枝。このあと喜助と玉枝はどうなっていくのでしょう。

...続きを読む