2014年03月16日

萩原朔太郎
『郷愁の詩人 与謝蕪村』
 (岩波文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「春の海 終日のたりのたりかな」「菜の花や 月は東に日は西に」など有名な春の句を残した江戸時代の俳人・与謝蕪村。彼の俳句を好む人は多く、そのひとりが萩原朔太郎。日本の「近代詩の父」と言われる詩人も蕪村の俳句にひかれ評論も発表しています。それを1冊にまとめたのが「郷愁の詩人 与謝蕪村」。萩原朔太郎は、この中で蕪村の俳句を「浪漫的で青春性に飛んでいる。どこか奈良時代の万葉集の和歌と共通する」と分析し、その部分にひかれると書いています。詩人の自由な感性で伝える与謝蕪村の魅力。難しく考えず、この本を通して、自分の心に響く蕪村の俳句を探してみるのも楽しいのでは。

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