2014年08月10日

山田太一
『異人たちとの夏』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「岸辺のアルバム」や「ふぞろいの林檎たち」など人気テレビドラマを数多く手掛けられている脚本家の山田太一さん。小説「異人たちとの夏」を1987年に発表して山田周五郎賞を受賞されるなど、小説家としても活躍されています。物語の主人公は、離婚したばかりの47歳の脚本家。彼は12歳の時に両親と死に別れています。しかしある日、自分の生まれた町「浅草」に出かけてみると、演芸場で父親そっくりの男を見かけ、その男の家にはなんと母に似た女もいるのです。その後も両親に会いに浅草に行く主人公。12歳で孤児になり甘えることを禁じていた男は、両親の前では素直でいられる自分を感じていきます。

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