2014年09月07日

中沢けい
『海を感じる時』
 (講談社文芸文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

1978年に「群像新人文学賞」を受賞した中沢けいさんのデビュー作「海を感じる時」。10代の少女の心と体の内側を描いた小説です。当時この作品を、主人公と同じぐらいの年齢である18歳の女性が書いたことでも話題となり、選考委員だった吉行淳之介さんにも高く評価されました。小川洋子さんがこの小説を最初に読んだのもこの頃のこと。当時、高校生だった小川さんは漠然と作家になることにあこがれを持っていましたが、「海を感じる時」を読んで中沢けいさんの才能の凄さに驚いたそうです。あれから36年。久しぶりに読み返した小川さん。「少しも古びていない、瑞々しくて痛々しい作品」と感じたそうです。

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