2015年01月18日

尾崎紅葉『金色夜叉』
 (角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

近代日本の歴史の中で、最初に大ヒットした新聞小説が尾崎紅葉の「金色夜叉」です。その連載は明治30年1月1日からはじまり、およそ6年も続きました。主人公は間貫一と鴫沢宮。二人は婚約していたのですが、なんと宮の父親が「彼女を富山唯継の嫁にやることにした」と貫一に告げます。富山唯継というのはダイヤモンドの指輪をしているお金持ち。愕然とする貫一は、宮が母親と湯治に行っている熱海に追いかけていきます。そして有名な1月17日「熱海の海岸」の場面になるのです。「僕がお前に物を言うのも今夜限り。来年の今月今夜、再来年の今月今夜、僕の涙で必ず月を曇らせて見せるから」もこの場面の有名なセリフです。

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