2015年04月05日

高樹のぶ子
『光抱く友よ』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

新学期にちなんで選んだのは高樹のぶ子さんの小説「光抱く友よ」。1984年の芥川賞受賞作で、二人の女子高生の物語です。主人公は相馬涼子。生真面目で責任感が強く、三島良介という担任の英語の先生に想いを寄せています。しかしある日、偶然に三島と、ある女子生徒の影を階段の踊り場で見つけてしまいます。口汚くののしっている三島の声が聞こえてきて、その相手は松尾勝美という同級生でした。三島に幻滅する一方、松尾勝美と話すようになる涼子。育った環境も性格も違う二人ですが、次第に近い関係になりっていきます。久しぶりにこの小説を手にした小川洋子さんは「松尾勝美の存在感がすごい」と感じ、今回は彼女を中心に読んだそうです。

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