2015年08月02日

コレット
『青い麦』
 (集英社文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

フランスの女流作家コレットが1920年代に発表した小説「青い麦」。物語の登場人物は、16歳の少年フィリップと15歳の少女ヴァンカです。二人の家族はとても親しく、毎年、夏になるとフランスのブルターニュ地方の海岸に別荘を借りて一緒に過ごしていました。そして今年もその夏がやって来ました。しかし1年1年変化していく二人。今年のヴァンカはさらに体が成長して、フィリップはその美しさを感じ取っています。そこに現れたのがダルレイ夫人。フィリップは大人の女性に惹かれ、やがて深い関係になっていきます。その状況にどうしていいかわからないヴァンカ。二人の心理の移り変わりを1行たりとも無駄にせず描かれています。

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