2015年11月22日
尾崎翠
『第七官界彷徨』
 (ちくま文庫)

明治29年に鳥取に生まれた尾崎翠。16歳の頃から「文芸雑誌」へ投稿をはじめ、やがて本格的に文学を志すようになります。日本女子大学国文科に入学のため上京。「少女小説」や「映画評」を書き、10数年たった35歳の時、小説「第七官界彷徨」を発表しました。この小説についてあの林芙美子も絶賛。まったく作風の違う二人は仲がよく、林芙美子が東京の落合に住むようになったのも、尾崎翠が誘ったからだと言われています。作家活動は、とても短い尾崎翠。45歳の頃から作品を発表しなくなり、故郷の鳥取で親族とともに静かに暮らすようになりますが、しかし小説の息はとても長く、現在も時々ブームが訪れるほど、不思議な魅力のある尾崎文学です。

...前に戻る