2015年12月20日
又吉直樹
『火花』
 (文藝春秋)

先輩芸人「神谷」に強くひかれ、「弟子にして下さい」と頭を下げる「僕」。すると神谷はその条件として「自分の伝記を作って欲しい」と言うのです。物語の語り手である「僕」は、「伝記を書く」ということで、神谷を冷静に観察する人になっていきます。「物語の中にもうひとりの書き手を作ったことがこの小説の大きな特徴」と小川洋子さん。そして主人公の「僕」の持っている度量の大きさがこの小説を読ませる力になっています。今回で3度「火花」を読んだという小川さんは「再読に耐える魅力がある」と感じたとか。2人の登場人物「徳永」と「神谷」の人間性に奥行きと陰影があるからだそうです。次回作も楽しみな又吉直樹さん。どんな文学の世界を見せてくれるのでしょうか?

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