2016年1月17日

藤沢周平
『海鳴り』第一週
 (文春文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

年に一度、長編小説を2週にわたって取り上げている「メロディアス・ライブラリー」。今年選んだのは、藤沢周平さんの「海鳴り」上下2巻です。1997年1月26日、69歳で亡くなっている藤沢周平さん。生前、江戸時代を舞台にした時代小説を数多く発表されていて、「海鳴り」もそのひとつ。命日を前に味わってみたいと思います。主人公は江戸で紙問屋を営む小野屋新兵衛。店は新兵衛が一代で築いたものでした。年は46。少しずつ老いを感じはじめる年頃。妻のおたきとは冷えきった関係。息子の幸助は跡取りとしての自覚がなく、家庭の中に安らぎはありません。そんな新兵衛はある日、紙問屋の寄り合いの帰りにある光景に出会うのです。

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