2016年1月24日

藤沢周平
『海鳴り』第二週
 (文春文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

年に一度、長編小説を2週にわたって味わう特集。今回取り上げているのは、藤沢周平さんの代表作のひとつ「海鳴り」です。江戸時代を舞台にした時代小説。今週はその下巻を中心に読んでいきました。主人公は江戸で紙問屋を一代で築いた男「小野屋新兵衛」。しかし妻とは心が通わず、跡取り息子は放蕩を繰り返してばかり。そんな時に出会ったのが丸子屋という同じ紙問屋のおかみ「おこう」です。次第に近くなっていく二人の仲は、やがて本当の愛に変わっていきます。しかし江戸時代に密通(不倫)は重罪。だからこそ命がけで人を愛するということはどういうことなのか、本当の幸せとは何なのかが描かれています。

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