2016年4月3日
芥川龍之介
『鼻』『芋粥』
 (新潮文庫)

芥川龍之介の短編小説「芋粥」は、「鼻」の発表から7ヶ月後の大正5年9月の作品。こちらは平安時代、「五位」という位にあった侍が主人公です。彼は「芋粥」を飽きるほど飲んでみたいという夢を持っていました。そしてなんとその夢を叶えてくれる人物と出会うのです。「鼻」も「芋粥」も「今昔物語」と「宇治拾遺物語」という古典をもとに書かれた作品。どちらも自分の願いを叶えることが出来た主人公の複雑な心情が描かれています。「鼻」は師匠であった夏目漱石からも高く評価され、芥川龍之介は作家としての道を開くことになり、さらに「芋粥」の成功で新進作家としての地位を確かなものにしたのです。

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