2016年6月5日

ドストエフスキー
『白夜』
 (講談社文芸文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

トルストイ、ツルゲーネフと並んで19世紀のロシア文学を代表する作家ドストエフスキー。「罪と罰」や「カラマーゾフの兄弟」など文学遺産と呼ばれる長編小説を残した文豪です。今回はドストエフスキー入門編ということで、初期の中編小説「白夜」を読んでみました。物語の舞台はロシア西部の町サンクトペテルブルグ。1914年までロシア帝国の首都だった町です。主人公である「僕」はこのペテルブルグに8年住んでいる若者。彼はその日、朝早くから自分でも驚くくらいの憂鬱に襲われていました。そしてまるまる3日間、白夜の町をさまよい歩きます。そこで出会ったのがひとりの女性。彼女は運河の手すりに寄りかかり泣いていました。

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