2016年6月26日
獅子文六
『悦ちゃん』
 (ちくま文庫)

父と娘、二人で暮らしている碌さんと悦ちゃん。しかしそこに縁談話が持ち上がります。碌さんの姉の鶴代さんが再婚をすすめていたのです。彼女が紹介したのは日下部カオルさんというお金持ちのお嬢さん。しかし悦ちゃんが気に入ったのは別の人。下町に住みデパートに勤める池辺鏡子さんです。元気そうに見えても、本当は寂しさを抱えている悦ちゃん。その気持ちを碌さんは気づいてくれるのでしょうか?実はこの小説は獅子文六の実体験。彼はフランスで演劇の勉強をしている時に、フランス人女性と結婚。帰国後、女の子ができますが、そのあと奥さんは亡くなってしまうのです。そこから生まれたのが「悦ちゃん」という物語だったのです。

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