2016年7月17日
サローヤン
『僕の名はアラム』
 (新潮文庫)

「僕の名はアラム」は、サローヤンが幼い頃に育ったコミュニティへの想いが伝わってくる作品。個性的な登場人物との時間をとおして、アラムという少年の成長が描かれています。しかしこれは必ずしもサローヤンが体験した実話とは限りません。サローヤンの父親は、トルコによるアルメニア人弾圧を逃れて、アメリカにやってきた移民第一世代。その父親は、1911年、サローヤンが3歳の時に亡くなっています。母親は4人の子供を育てる財力がなかったため、兄弟はみんな孤児院に預けられ5年間を過ごし、8歳の時に呼び戻されました。「僕の名はアラム」は、サローヤンが自分に与えられなかった少年時代を書いた本なのではないかとも言われています。

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