2016年9月4日

吉行淳之介
『童謡』
 (中公文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

中学・高校の国語の教科書には国内・海外の名作が掲載されていて、知らず知らずのうちに文学遺産に出会っています。今回、取り上げたのは「教科書名短篇・少年時代」という1冊。井上靖、安岡章太郎、ヘルマン・ヘッセ、魯迅などの名短篇が収められているアンソロジーです。その中から選んだのは吉行淳之介さんの「童謡」。1961年に発表された短編小説で、5年後にはじめて中学3年の国語の教科書に掲載されました。主人公は高熱を出した少年。その熱が下がらないため入院することになってしまいます。そこに友人がお見舞いにやってきてこんな言葉をかけます。「君は、蒲団の国へ行くわけだな。あそこはいいぞ」。

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