2016年12月4日
中島敦
『名人伝』
 (角川文庫)

飛衛の命じることを全てマスターしていった紀昌。その後、新たな師を求めて西へと旅立ちます。目指したのは山の頂きにいる甘蠅という大家。彼のもとで9年過ごした紀昌はどうなっていたでしょうか?なんと「弓をとらない弓の名人」となり、その存在が人々の誇りにまでなっていったのです。この短い物語の中で人間の半生を描ききり、人間の根源的な謎までも描いた中島敦。あらためて作家としての才能を感じる作品ですが、では「名人伝」の結末を読者はどう読み解けばいいのでしょうか?読み手に様々な感想を持たせる奥行きのある作品。だからこそ長い間、読み継がれ、教科書にも掲載されているのではないでしょうか?

...前に戻る