2017年3月12日

木村友祐
『イサの氾濫』
 (未来社)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

昨日は3月11日。東日本大震災から6年がたちました。「メロディアス・ライブラリー」では、東日本大震災をはじめ日本各地で起こった大きな災害のこと、そして被災地の方たちへ、文学をとおして想いを寄せることができたらと思っています。今回の「イサの氾濫」もその想いから選んだ小説。作者の木村友祐さんのふるさとは青森県八戸市で、この小説を執筆中に東日本大震災が起こりました。当初予定していた内容を大きく変更して書かれたそうで、作品の中には木村さんの震災後に感じられた想いも込められています。主人公は40歳で仕事を辞めて東京からふるさとの八戸に戻った将司という男性。彼は「イサのじちゃん」という叔父さんのことを知りたいと従兄の仁志に話を聞きます。

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