2017年5月7日
寺山修司
戯曲『毛皮のマリー』
 (ちくま日本文学6)

今回は、ちくま日本文学のシリーズ「寺山修司」で「毛皮のマリー」を読んでいきましたが、この本には他にも様々な代表作が掲載されています。そのひとつが自叙伝「誰か故郷を想はざる」。寺山修司さんは1935年12月10日青森県弘前生まれだそうですが、戸籍では翌年の1月10日になっているとか。そのことをお母さんに聞くと「おまえは走っている汽車のなかで生まれたから、出生地があいまいなのだ」と言われたそうです。この出生のエピソードは事実ではありませんが、一所不在を望む寺山修司さんの思想の根底には「おれの故郷は汽車の中」という想いがあったということです。心の置き所も、作品の分野も、ひとつにこだわらなかった寺山修司さん。あらためて味わっても、その才能の凄さに圧倒されます。

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