心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

原子爆弾が投下されたあとに降る雨には放射能が含まれ、原爆が炸裂した時の泥やすすが混ざっているため「黒い雨」と呼ばれています。その「黒い雨」を題名にした井伏鱒二の小説。原子爆弾が投下されて数年後の広島を舞台に描かれた作品です。主人公は閑間重松。彼は姪の矢須子のことで心を痛めています。なかなか縁談がまとまらず、その理由は矢須子が被爆しているのではという噂が広まっているから。しかし実際には、原爆が落ちた時、矢須子は爆心地から離れた場所にいて、お医者様にも病気ではないと言われています。閑間重松は、仲人に矢須子の当日の足取りを伝えるために、彼女の日記を書き写します。しかしそこからある事実がわかってくるのです。

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