2017年12月3日
ジョン・オカダ
『ノーノーボーイ』
 (旬報社)

収容所に2年、さらに徴兵を拒否したため刑務所に2年いたイチローは、戦争が終わったあと4年ぶりにアメリカ西海岸の町シアトルに戻ってきます。そこで両親や弟と再会。しかし彼は父親、母親に対して違和感を持ち、弟のタローとも理解しあえないものを感じるのです。また他の日系人の家族も、大切な我が子を戦争で失うなど、大きな苦しみを抱えて生きていました。小説「ノーノー・ボーイ」は、戦争の奥にある一つ一つの哀しみに目を向けた作品。さらに「自分はいったい何者なのか」と言った普遍的な人間の悩みや迷いも描き出しています。発表から60年たった今、日本でも新訳本が出版されました。若者をはじめ多くの人に読んでもらいたい小説です。

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