2018年5月27日

与謝野晶子
『みだれ髪』
(角川文庫)

今回、歌人でいらっしゃる今野寿美さんの現代語訳がついた角川文庫で「みだれ髪」を味わうことで、よりリアルに与謝野晶子の想いを感じることができました。「くろ髪の千すぢの髪のみだれ髪かつおもひみだれおもひみだるる」という短歌を、今野さんは「黒髪は女性の美、そして恋心そのもの。千すじのみだれに心は映って見えるはず。なおなお想って、想ってはみだれて」と訳されています。ちなみに歌集「みだれ髪」は、発売当時、全国の青年たちが競って読み、晶子の歌を真似たそうです。青年たちは女性になりかわって晶子調を模倣し、その青年の中には、石川啄木、北原白秋、萩原朔太郎もいたということです。

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