2018年6月24日

東山彰良
『僕が殺した人と僕を殺した人』

(文藝春秋)

第1章の最後、物語の語り手である「わたし」のこんな言葉が気になります。「いまから30年前、わたしはサックマンを知っていた。1984年、わたしたちは13歳だった」。そして物語は1984年の台湾に移っていき、語り手も「わたし」から「ぼく」へと変わります。登場するのは「ユン」「ジェイ」「アガン」「ダーダー」という少年たち。彼らはそれぞれ苦しい状況を抱えながらも、喧嘩をしたり、ブレイクダンスに夢中になったり、スニーカーを万引きしたり、一緒の時を過ごすことで絆を深めていきます。ではこの少年たちと殺人犯サックマンとの関係は何なのか?少年たちの濃密な時間を描き出し、ミステリーとしても引き込まれてしまう作品。ぜひ手にとってみて下さい。

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