2023年3月19日

川端康成
『禽獣』
(新潮文庫・『伊豆の踊子』)

今から90年前の昭和8年、川端康成が34歳の時に発表した小説『禽獣』。この作品を手掛けた頃、川端は実際に多くの犬や鳥たちと暮らしていました。犬は、コリー、ワイアー・フォックス・テリア。鳥は、ミミズク、モズ、そして菊戴です。そして小説『禽獣』について、川端はこんな言葉も残しています。「締め切りが迫る中、一番いやらしいことを書いてやれ、というやけ気味で書いた作品」・・・。「メロディアス・ライブラリー」で読み続けてきた川端康成。「半分死んでいるような作家」と小川洋子さん。いい小説を書こうという野心もなく、書くことなんて意味がないというところまで到達した作家。番組は終了してしまいますが、これからも読み続けていきたい川端文学です。

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