ON AIR REPORT オンエアレポート

世界のヴィオラ奏者・今井信子さんを迎えて 1

16/05/30


今夜もお聴きいただきありがとうございました。

2週間にわたってヴィオラ奏者の今井信子さんをゲストにお迎えします。
今井さんは、桐朋学園で、ヴァイオリンとヴィオラを学び、
大学卒業後、イェール大学大学院、ジュリアード音楽院を経て、
1967年ミュンヘン、68年ジュネーヴ両国際コンクール最高位入賞。
フェルメール四重奏団に在籍したのち、ヴィオラのソリストに。
現在は、日本はもとより世界のヴィオラ界を牽引する存在で、
これまで40タイトルを超えるCDをリリース、
ソロ、室内楽、オーケストラで幅広く活躍され、国内外で後進の指導にも尽力されています。

横山さんとは、上野学園の先生同志という間柄でもあり、かねてより、
ぜひゲストに来ていただきたいとおっしゃっていた憧れの方でした。
今夜の1曲目は、石橋メモリアルホールでの初共演から、超豪華な四重奏。

M1 ブラームス《 ピアノ四重奏曲 第1番 op.25 》より第3楽章
   矢部達哉(ヴァイオリン)、今井信子(ヴィオラ)、原田禎夫(チェロ)、横山幸雄(ピアノ)
 (『上野学園 石橋メモリアルホール・オープニング・ガラ・コンサート』[2010年10月リリース]より)

ヴィオラの魅力は、あまり表に出なくても、音の味わいや色あいが深く、相手に先行して音楽をリードできるところ、
私は、ヴィオラを弾くと自分を解放できました、取りつかれてしまったのです。
今でこそ、ヴィオラのために現代曲が毎日のように作曲され、編曲(トランスクリプション)も多くなされて
ヴィオラは独立した楽器とみなされていますが、昔はそうではなかったんです、と今井さんはおっしゃっていました。


M2 ヴィヴァルディ 《ヴィオラ・ダモーレ協奏曲 ニ短調》 より 第1楽章
  パリス・マッシモ(ヴィオラ・ダモーレ)、 イ・ムジチ合奏団

2曲目は、開催中の<ヴィオラ・スペース2016>で演奏される曲。
<ヴィオラ・スペース>は、今年25回目を迎える、世界でも珍しいヴィオラの祭典、
開催のきっかけとなるリサイタルから、現在も、企画・演奏、すべてにわたって今井さんが中心となって
作り上げています。世界で活躍する人材を出している成果は大きい、とお感じだそうです。

今回のヴィオラ・スペースのテーマは、「ヴィオラの誕生!バロックへの回帰」。
当時の楽器、ヴィオラ・ダモーレも、今回今井さんは演奏します。
ヴィオラ・ダモーレは、ヘッドのところに天使の彫刻があり、共鳴弦をもつユニークな楽器。
1曲ごとに調弦がちがいます。バロックの時代はそれが普通だったそうです。
今回はさらに、ピッチを半音下げてバロック時代の本質に迫ります。
ピアノで、ドのところを弾いているつもりが、ちがう音がでたら混乱して弾けませんね!と
横山さんも興味津々でした。

来週も、今井信子さんにお話しを伺います!

今井信子さんと